来客

 ベランダに面したガラス戸を前に、床に座り込んで書類を片付けていた。今日はお天気。庭の一画は陽光が差し込んで、あったかい黄色になっている。なんて、庭を眺めていたら、強烈な視線とぶつかった。白黒模様をしたやわらかいカタマリ。そろり、そろり、しっかり目線を合わせながら、近づいてくる。んんんっ!? 見覚えのある姿。そうそう、庭の塀の上をたまに歩いていく、白黒ブチのしっぽが長~い猫。素通りはせず、必ずいったん止まり、キッと睨んでからすたすたと立ち去っているのが常。その奴が、今日はなぜか塀から庭に下り、いつものガン飛ばしの相手に向かってゆっくり近づいてくる。芝生の上を過ぎ、洗濯物干しをくぐり、やがてガラス戸の前へ。じっと睨んだうえで「一応、確認したから」と言って庭の右手に向っていった。でも、振り返ってガンを飛ばすことは忘れない。そのまま、庭から消え去るかと思いきや「やっぱり、気が変わった」と言って左側に向きをかえ、あったかい芝生の上でしばらくもじもじした後、壁の下をくぐって消えていった。
 何をしたかったのだろう。